いまロイヤルエンフィールドは、インド・チェンナイと英国・レスターシャーにそれぞれテクニカルセンターを構え、新型車両の開発を行っています。かつてロイヤルエンフィールドは、車両開発の多くを外部に委託していました。しかし2010年代半ばに開発方法を一新。テクニカルセンターを構え、車両開発のすべてを自社で行うことにしました。社内に開発のノウハウを蓄積。妥協なく開発を進めることができるようになり、それにより車両の品質を大幅に向上させることができました。
このテクニカルセンターでは、車両開発のすべてを行っています。たとえばエンジン開発、シャシー開発、電装類の開発、車両デザイン、ボディカラーやグラフィックの開発、メーターやスイッチなど装備品の開発やデザイン、アクセサリー開発などなど。同時に、各種性能テストおよび耐久テストも行っています。また各種テストにはテスト車両が必要ですので、その車両製作に必要なパーツを製作するための工作機械なども揃っています。
インドと英国のテクニカルセンターは、役割を別けることなく、二箇所で同じ車両を開発しています。2017年に発表し、2018年に市場投入したコンチネンタルGT650やINT650以降の車両は、すべてインドと英国のテクニカルセンターから誕生しました。また現在ロイヤルエンフィールド傘下で、英国を拠点に活動するシャシーのスペシャリスト「ハリス・パフォーマンス」は、共同でシャシー周りの開発を行うと同時に、シャシー周りのテストにおいてもサポートしています。
異なる地域にテクニカルセンターを設置する理由は、異なる地域とさまざまな人種によって車両開発を行うことで、世界各国で販売するロイヤルエンフィールドの魅力を最大化するためです。赤道に近いインドと北半球のさらに北に位置する英国。ともに多くの文化や人種が混じり合い、バイクに求められるパフォーマンスや価値も異なっています。その幅広い視点で開発を進めることは、すべての車両を世界展開するロイヤルエンフィールドにとってとても重要なのです。
またインドと英国には5時間30分の時差があります。その時差を活かすと、インド/英国が共同で開発する時間、そしてインドと英国がそれぞれに開発する時間を取ることができ、結果として開発時間が長く取ることができる。インドと英国をタイムラグなく繋ぐ最新のデジタルコミュニケーションツールを使用し、お互いに作業を進めることで、車両開発の深度も深めることができるのです。
最初4人でスタートした英国のテクニカルセンターは現在180人、4-50人だったインドのテクニカルセンターは現在250人を超えるスタッフが従事し、ロイヤルエンフィールドの新型車開発を行っています。